COLUMN技術コラム

[No.30] 流体解析とは

2019.04.11

SOLIZEテクノロジーラボ

ソフトウエアやハードウエアの急速な進歩に伴い、設計開発を取り巻く環境は近年大きく変化しつつあります。2次元で描いていた図面は3次元で描くようになり、CAE(Computer Aided Engineering)の活用機会が増大しています。これに伴い、それまでは解析専任者のみが使用していた熱流体解析(Computational Fluid Dynamics:CFD)ソフトウエアを、解析専任者ではない設計者などが使用するケースも増えています。この状況は設計者のスキルの1つとして熱流体解析が求められていることを表しているともいえます。ここでは、熱流体解析をこれから始める方、もしくは始めて間もない方を対象に、熱流体解析を行う上での基本をご紹介します。

流体や熱の移動が関係する現象および熱流体解析の利点と欠点

1.熱流体が関わる現象

常温における空気や水は、明確な形を持たずに流れるという性質を持っています。このように流れる性質を持っているものを総称して「流体」と呼びます。

流体解析とはのイメージ Fig.1 物質の三態

地球上には空気や水に代表されるさまざまな流体が存在しており、身の回りで観察される多くの現象に流体の流れや熱の移動が関係しています。たとえば、自動車や航空機においては、車体や機体の周りを空気がどのように流れるかという点が性能に大きく影響します。電子機器や電気回路の設計においては、部品の許容温度範囲を超えないために、より熱を逃がしやすい設計をすることが重要です。また、空調設備の設計や高層建築物の周囲に生じるビル風、ヒートアイランド現象などにおいても、空気や熱の流れを把握することが快適な環境づくりのために重要となります。

このように流体の流れや熱の移動という現象は、私たちの生活全般と深い関わりがあり、これらの現象を理解することが極めて重要なテーマとなっています。

2.熱流体解析ツールCFDの利点と注意点

前節で挙げたさまざまな現象について実験を行った場合、得られる情報は実現象であり、その情報の信頼性は非常に高くなります。しかし、実験を行うためには多大な費用や時間、労力が必要です。

このような問題を解決するためのツールの1つが熱流体解析ソフトウエアです。熱流体解析はこの技術全般を指す学問である数値流体力学(Computational Fluid Dynamics)の頭文字を取ってCFDとも呼ばれます。

熱流体解析ソフトウエアでは、流体の流れや熱の移動をコンピュータ上でシミュレーションすることが可能です。近年では解析技術やコンピュータの性能向上により、解析結果を実際の設計に生かすことも可能となってきました。熱流体解析を行う利点としては、以下などが挙げられます。

  • 試作品を作らずにさまざまな条件における検討ができ、開発期間の短縮や試作コストを削減します。
  • 実験による測定が難しい場合や、実験そのものが困難な場合にも詳細なデータを得ることができます。
  • イメージしづらい流体の流れや熱の動きを視覚的に表現でき、感覚に頼らない合理的な説明を行うための手段として利用できます。

熱流体解析の例のイメージ Fig.2 熱流体解析の例

このように熱流体解析は大きな利点を備えていますが、その反面、欠点も持ち合わせています。たとえば、複雑な物理現象を計算する際に現象を単純化した物理モデルを使用した場合、あるいは解析対象物の形状を簡略化した場合にはモデル化に伴う誤差が含まれます。また、コンピュータで数値計算を行うと必ず計算誤差の影響も発生します。

こういった熱流体解析の利点と欠点を十分に理解し、得られた計算結果が物理的に矛盾していないかを常に吟味しながらソフトウエアを使用していくことが非常に重要なのです。

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