コラム

MBDに求められるスキルとは

MBD(Model Based Development:モデルベース開発)の教育に携わるSOLIZEのエンジニアが、製造業におけるMBDの重要性や教育方法について解説します。

製品開発でのMBDの役割

MBDを広義に捉える場合、制御系分野、組み込み系分野、情報系分野、そしてこれらを複合した分野における開発手法の一つと考えます。MBDにおけるモデルは分野ごとにさまざまで、使用するモデル自体が異なり、その役割も多岐にわたります。MBDを簡潔に説明すると、特定の視点から対象物の特徴を抽出し、図形や数式などの表現手段を用いて理解しやすいように対象物の特徴を表現もしくは設計し、検証にシミュレーションを活用することで、問題を早期に検出・対策する開発手法となります。さらに、MBDがどのように使われていて、どのような効果があるのかを加えると、MBDの役割は以下となります。

1.段階的に設計・検証を積み上げることで、大きな手戻りを削減
2.確認可能な項目を前倒しで実施し、結果として試行回数や試行に用いられる試作台数を削減
3.テストを網羅するためにかかる資源や工数を省力化
4.担当者間での理解の不一致による無駄を排除
5.要求や仕様の抜け漏れ・不整合・無駄な変更について、モデルを用いることで再利用を促進

MBDに求められるスキル

制御系分野、組み込み系分野、情報系分野に関連するスキルに加え、対象となる製品に関する知識、目の前で起きている現象を客観的に捉えて解析するスキルなど、求められるスキルは多岐にわたります。

近年、製品のライフサイクルが短縮する中、グローバルに競争力のある製品を、タイムリーに製品供給できる開発体制を整えることが重要な時代です。このような環境の中で、複雑化するニーズに対応する製品を効率的に、品質を担保しながら開発する必要があると考えています。これらの要素から考えると、MBDでは量産開発に関わるスキルを身に付けた人材が求められていると思います。さらにその先には、変化の激しいあらゆる開発状況・環境を考慮し、MBD開発環境を適宜改善できる人材が必要であると考えます。

実務での経験

商用車メーカーでのHVやFCEVの制御開発に携わる中で以下のスキルが得られ、自身の強みとなりました。

1.要求仕様をもとに設計に要求されていることを分析するスキル
2.制御モデルとして構築し、シミュレーションするスキル
3.制御モデルのテスト設計スキル
4.オートコーディングからECUへの実装スキル
5.HILSを用いた評価スキル要求や仕様の抜け漏れ・不整合・無駄な変更について、モデルを用いることで再利用を促進

また、これらを行ううえで自身の業務の効率化のみならずグループや部全体の効率化を図るため、自動化プログラムなどのさまざまなツールを構築しました。たとえば、故障診断や入出力処理などで単純な構造のモデルをベースモデルとして作成するツールや、カバレッジ評価などをツールの機能を用いて自動化するツールを構築しました。

MBDエンジニアの育成に注力

人材育成には、時間とコスト、成長できる場が必要で、容易ではありません。SOLIZEは開発メーカーではないため、開発製品一つひとつに関する詳細な教育を行うことはできません。お客さまの開発現場により求められるスキルが異なるため、それに対応していく必要があります。その中で、量産開発に関わるスキルやMBD開発環境を構築するスキルを備えた人材になれるよう、その下地となる教育を行っています。直近の目標としては、そのスキルを備えた人材をいち早くお客さまに提供できるよう、エンジニアのキャリアやスキルの定義の棚卸し、教育内容のブラッシュアップ、より現場に即した演習の実施など、社会に求められるMBD人材の育成に注力してまいります。

まとめ

MBDに求められるスキルとSOLIZEが実施する教育について解説しました。SOLIZEには、MBDに対応できるエンジニアが多数在籍しています。SOLIZEは、お客さまにとって最適なエンジニアを提案し、業務効率化と成果向上をサポートします。

執筆者プロフィール:
前職では、半導体業界においてレイアウト設計業務に従事。SOLIZEに入社後、乗用車メーカーで制御開発(HV、ADAS/ACC担当)、商用車メーカーで制御開発(HV/FCEV担当)に従事。現在は多くの機種開発経験を活かし、MBDエンジニアの育成に取り組んでいる。

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