M&A
M&A事例紹介
株式会社SiM24
2024年10月、M&AによりSOLIZE PARTNERS株式会社(当時:SOLIZE株式会社)の100%子会社となった株式会社SiM24(本社:大阪市中央区)。設立から21年を迎えた同社は、SOLIZEグループの一員となり、どのように変わったのでしょうか。大木 滋代表取締役社長と中 裕之副社長(CTO)にお話を伺いました。
SiM24は、パナソニックグループのベンチャー企業としてスタートされたとのことですが、設立の経緯と事業内容について教えてください。
大木私は松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)の半導体部門で、プリント基板の実装工程のシミュレーションを担当していました。私はもともとソフトウェア開発が専門でしたが、会社に入ってシミュレーションと出会い、そのおもしろさを知るとともに、シミュレーション技術が持つ可能性に魅了されました。その頃、社内ベンチャー公募制度が始まり、シミュレーション技術はもっとさまざまな分野に活用できると確信して応募しました。社内からは約3,000のビジネスアイデアが寄せられ、結果的に31社のベンチャー企業が設立されました。その1社として、2005年にSiM24を設立しました。
シミュレーションをベースとしたCAE技術(Computer Aided Engineering:ものづくりの研究・開発工程において、コンピュータ上の試作品でシミュレーションを行い、分析する技術)を活用して、電子機器などの設計や機構開発の性能向上、合理化、期間短縮、コスト削減、製造現場のプロセス改善を支援する事業をスタートしました。
その後、松下電器産業時代の上司でもあり、私にシミュレーションのおもしろさを教えてくれた中が、CTOとして会社に加わってくれました。
中私は設立から10年ほどたってSiM24に入社しました。当時はパナソニックと関連のある分野での解析シミュレーションが中心でしたが、さらなる事業拡大を目指して着目したのがアグリ・バイオ分野です。野菜や果物などの農作物、畜産、水産物の養殖、さらにはiPS細胞の培養・合成などにおいて、データを数理解析し、AIを活用することで、生物系の育成条件を最適化し、設備設計に活かす取り組みを始めました。私たちはこの技術を「Bio Optimizer」と呼んでいますが、今後ますます需要が高まる分野だと考えています。
大木この分野に限らず、お客さまの課題に応じてデータ最適化設計までを含むトータルソリューションを提供できることが、現在のSiM24の最大の特長です。
SiM24は、ユニークな働き方を早くから実践され、近畿経済産業局にその取り組みが紹介されたり、大阪市女性活躍リーディングカンパニーに選出されたりするなど、注目されています。

大木SiM24という社名は、シミュレーション(Simulation)でお客さまの課題に24時間365日対応したいという思いで付けましたが、何も人間が24時間働くわけではありません。シミュレーションは、データさえ入力すればコンピュータが24時間稼働して計算してくれます。つまり、私たちはコンピュータさえあれば、いつでもどこでも仕事ができるのです。
会社設立時に社員を採用するにあたって、松下電器産業を退職していた女性技術者たちに声をかけました。彼女たちはとても優秀で、また働きたいという意欲を持っていましたが、子育てなどの事情によりフルタイムで出勤するのは難しかったのです。何とか彼女たちに活躍してもらえないかと考え、設立当初より完全在宅勤務を導入しました。今では、富山県や愛知県などに居住しながら働いている人もいます。
中SiM24の強みは、人財のレベルの高さといっても過言ではありません。CAEや解析の技術力だけではなく、従業員が創造的なアイデアを生み出してくれていることが、ビジネスを支えています。
順調に事業運営をされていた中で、なぜM&Aを検討されたのでしょうか。
大木「事業継続」が一番の課題でした。経営は順調でしたが、会社設立から20年近くが経ち、私たち経営陣もそうですが、社員の多くも高齢化してきました。今後も優秀な人財を活かして世の中に価値のある仕事を提供し続けなければならないという思いがあり、M&Aの検討を始めるようになりました。
M&Aはどのように進められましたか。
大木M&Aを検討する前に、一度ある会社と資本提携をしました。しかし、業界の違いや投資に対する考え方の食い違い、共同案件の実施がうまく進まず、当初考えていたようなメリットを生み出すことができませんでした。
その後、本格的にM&Aの買受先を探すなかで、さまざまな会社から声をかけてもらいましたが、相手先の方針や考え方、「親会社と子会社としてこういう付き合い方をしたい」といった私たちの希望が、なかなかマッチしませんでした。
中M&Aの必須の条件は、従業員全員を引き受けてほしいということでした。しかし、「この事業だけ買いたいので、その事業に関わる従業員だけ残したい」といったお話も多かったです。
また、シミュレーションのクオリティやスピード感を左右するのはコンピュータの計算速度です。今後さらに事業を拡大するためには、コンピュータを新しく買い替える必要がありましたが、こうした成長投資を積極的に行ってくれる企業の傘下に入りたい、ということも大きな条件でした。
最終的にSOLIZEグループに決めた理由をお聞かせください。
大木SOLIZEグループは、2033年に売上高1,000億円の達成を掲げ、大きな成長を目指しており、そのベクトルに共感しました。SiM24単体では新たな投資ができず、大きな成長も難しい状況でしたが、将来を見据えた人財の確保や設備投資についてご理解いただき、一緒に成長していけると感じたことが大きかったです。さらに、SOLIZEグループが持つデジタルものづくりのソリューションと、私たちの技術や知見を掛け合わせることで、新たなシナジーを生み出せるのではないかという可能性も感じました。

中私は、SOLIZEグループがものづくりだけではなく、夢を現実化して社会を変革することまで本気で考え、アクションをビジョンに掲げていることに感動しました。私たちSiM24も、世の中を良くしたいという思いからアグリ・バイオ分野に進出してきました。SOLIZEグループと一緒に、社会を変革するような大きなチャレンジができるのではないかと思いました。経営陣や経営幹部の方との面談で、将来のビジョンについて議論でき、先ほど申し上げた雇用や投資の条件を受け入れていただくなど、建設的な話し合いができたのも大きかったです。
グループに参画する前後で、SOLIZEグループに対する印象は変わりましたか。
大木3Dプリンターのパイオニアとして、インクス(株式会社インクス、2013年にSOLIZE株式会社に商号変更)という会社は知っていました。SOLIZEグループに加わって感じたのは、若い世代が活気を持って仕事に取り組んでいるということです。また、これだけの規模感の会社でありながら、意思決定が早いことにも驚きました。中が言ったように、世の中に価値があることを、本当にスピード感を持って実行しているという印象です。
SOLIZEグループの一員となって、会社に変化はありましたか。
大木従業員も、「この先会社はどうなるんだろう」と正直不安だったと思いますが、まずは数年先の心配をする必要がなくなり、将来に対して期待が持てるようになったと思います。また、SOLIZEグループの若い世代の皆さんと仕事できるということは、刺激になっています。
中コンピュータも入れ替えることができ、仕事の質も向上しました。私自身、世の中に役立つ仕事をしたい、インパクトのある仕事をしたいという夢が、現実になってきたように感じています。あと何年働けるかわかりませんが、もう一度、粉骨砕身で頑張ろうと意欲に燃えています。
一方で、想定外だったことはありますか。
大木上場企業であるSOLIZE Holdingsの連結対象になったことで、財務や経理の面でやるべきことは増えましたが、会社運営をしていくうえでは本来必要なことだったのだと実感し、勉強になっています。管理部門にはそういったノウハウがなかったので苦労もありますが、SOLIZE Holdingsや直接の親会社となるSOLIZE PARTNERSの管理部門の皆さんに、サポートしてもらっています。
M&Aによる譲渡を検討している会社に伝えたいことはありますか。

大木中小企業ならではの限界で、これまで取り組みたくても実現できなかったことが多々あります。SiM24の場合、これまでは国内を中心に事業を展開していましたが、海外にも多数の拠点を持つSOLIZEグループの一員となったことで、以前は障壁と感じていた国際法務や契約面についてもフォローしてもらい、海外とのビジネスの可能性も広がりました。SOLIZEグループの知見やリソースを共有していくことで、事業をさらに拡大できる可能性は大いにあると思います。
中SOLIZEグループの一員となったことで、今まであきらめていたような長期的な仕事にもチャレンジできると感じています。SiM24としても、グループの若い世代の皆さんと共に、夢とインパクトのある仕事に積極的に取り組んでいきたいです。
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