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COLUMN技術コラム

これから期待される光造形の技術

3Dプリント 光造形

これから期待される光造形の技術

積層として作り上げていく光造形

3Dプリンターが注目されるようになった現在、造形技術はどんどんと進化してきています。その一つとして注目を集めるようになったのが「光造形」でしょう。光造形とは何かと言うと、紫外線レーザーの光によって樹脂を硬化させて造形する技術のことです。液状になっている光硬化性樹脂を槽に貯めておき、そこにレーザー等の光ビームを当てていきます。光によって硬化する特性を持ち、当たる部分が硬化してできあがっていくため、一層ずつ作り上げることができるのが特徴です。これを積層させることによって造形物を作ることができるため、工具を使って作り上げたりすることがありません。もちろん成形用の型もいりませんし、切削工具の必要もなく、立体物を作ることができます。ロスも発生しにくいため、非常に効果的な造形方法と言えるでしょう。積層として加工していくため、等高線状の縞模様ができるのが特徴で、サポートと呼ばれる支持部分ができあがります。
あとから除去することができるので、設計通りの造形物を作ることができる方法なのです。
光造形をするためには、まずはデータを作成しなければいけません。3D CADを使い、立体デザインを作り上げます。これを入力し、専用ソフトを使い、積層に加工することができるように、等間隔にスライスできる断面データに変換します。
このデータをもとにして、光硬化性樹脂を入れた槽にレーザーを照射させることによって第1層を作り上げます。あとは、できあがった厚みの分だけレーザーのテーブルを下げながら、どんどんと積層して行くことで、作り上げていくことが可能です。速度との関連も重要ですが、1つの層を薄くすれば精度の細かい造形物を作り上げることができます。積層ピッチを粗くすれば、精度は劣りますが速度を上げることができるため、必要に合わせて加工方法を考えることができる方法です。

自由曲面や熟練工もいらない

光造形を使うことは、非常に多くのメリットを持っていることは間違いありません。通常は切削加工をする場合、自由曲面は非常に問題が多くなるでしょう。実際に難しい自由曲面であっても、レーザーを当てて槽で加工していくため、デザイン通りの曲面を作り上げることができます。複雑な構造であっても、レーザーを当てることができれば作ることができるため、デザインの自由度が高まるでしょう。
データを入力したのちは、完全自動化されます。複雑な造形になると、どうしても加工する人間の技術力が重要となり、知識もなければいけません。実際にそこまでの熟練工を用意することになり、生産性を上げることができなくなります。ところが、完全自由化することができるため、熟練工の確保がいりません。特別な造形知識がなくても、精度の高い加工物を作り上げることができます。それも、非常に速い速度で作ることができるため、時間のロスがありません。光での加工ですので騒音となるようなレベルの音は出ず、振動もほとんど発生させないで加工できます。また、切削するわけではないので切削くずが出ることがなく、効率よく作り上げることが可能です。

さらなる改良と進化と問題点

非常にメリットのある光造形ですが、これから先、工業分野としては、簡単に作ることができなかったデザインモデルの活用が進められています。さまざまなパーツに分解して作らなければ実現できなかったものも、まとめて作ることができるようになるでしょう。マスタモデルとしても、ワーキングモデルとしても利用が進んでいます。データさえあれば3Dプリンターのように使うことができるため、高精度の造形が可能です。人体モデルも作ることができますし、簡単に作ることができなかった曲線で難しい靴型もできます。医療分野では、手術用のシミュレーションモデルの製作が可能です。インクジェット方式の3Dプリンターでは時間がかかり、急ぎの時に間に合わないようなものでも、光造形であれば間に合わせることもできます。もちろん、教育訓練用モデルも作ることができるでしょう。他にも、曲線が難しかった補装具の製作も簡単です。
問題点としては、インクジェット方式の3Dプリンターとあまり変わりません。特に大きな問題は、3D CADの普及でしょう。これがなければデータを作ることができないため、確実に必要になってきます。材料の開発も必要で、光硬化性樹脂の開発が進めば、さまざまなものを再現することができるようになるでしょう。特に医療分野では、感触も重要なポイントになってきます。これも素材の進化により実現できるようになっていくでしょう。
表面処理に関しても、量産品に近いものを作れるのが光造形のメリットです。3Dプリンターでは形状確認どまりであったものも、光造形であれば展示会に出展するプレゼンにも使えるほどの仕上がりを実現できます。柔軟な対応もでき、単価も抑え、速度も速いため多くの部品を作ることもできるので、次世代の加工方法として注目されている方法と言えるでしょう。

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