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3Dプリンターの豆知識。粉末造形とは

3Dプリント 粉末造形

3Dプリンターの豆知識。粉末造形とはのイメージ

3Dプリンターとは

3Dプリンターをご存じでしょうか。通常のプリンターと言えば、紙に印刷するものですが、データを元に立体を造形できるのが3Dプリンターです。3Dプリンター自体は、1980年代から開発され実用化が進みましたが、機械が高価であり、制御も難しいことから普及は進みませんでした。この状況は、2000年代半ばまで続きます。

しかし、2009年に熱溶融方式の基本特許の保護期間が終了したことや、RepRapなどのオープンソースの開発が進んだことにより、安価なものが発売され始め、個人にも普及が進みました。低価格の個人用3Dプリンターは、爆発的な成長を見せており、2008年から2011年の間では毎年平均346%の成長を遂げました。2014年にはレーザー焼結法と呼ばれる、緻密な造形に適した方法の特許保護期間が終了したことにより、複数の企業が参入し、開発が進んでいます。

最近では、光造形法などのより精密な造形が可能な機種や3Dスキャナを搭載した機種の低価格化が進み、さらに普及が進んでいます。新規参入する企業も多く、これからも開発競争が繰り広げられる分野といえるでしょう。3Dプリンターを企業が導入している要因として、ラピッドプロトタイピングが可能なことがあります。ラピッドプロトタイピングとは、高速に試作することを目的とした手法です。製品設計では、初期設計やデザインがある程度進むと、実際の性能などを測定するために試作品を作成することが一般的です。試作品の製作には時間がかかり、コストもかかりますが、実際の質感や触った時の感覚など定量化か困難な項目の評価などがあることから必要とされています。3Dプリンターであれば、自由な形状を造形でき、時間も短縮できることから試作の段階で重宝されており、導入が進んでいます。

製造方式

3Dプリンターの基本的な方式としては、データを基にコンピュータ上で3Dデータを作成し、その断面形状を積層することで立体物を作成するというのが基本です。ここでは、その方式について紹介します。

1つ目が光学造形方式です。最も古くからある手法であり、実績も高く信頼性も高いといえるものです。紫外線を照射することで、硬化する光硬化性樹脂を使った方式であり、表面が滑らかな造形や高精細な造形ができることが特徴です。

2つ目が熱溶解積層法です。熱で溶かした樹脂を押し出しながら積層する方式で、熱可塑性樹脂が使用できることが特徴です。イニシャルコストが比較的安価で、X-Y方向の耐久性や耐熱性もあるので試作品の作成に適しています。素材を溶かして、積層するので断面が目立ちやすいというデメリットもあるため、表面が滑らかな積層が必要な場合は向いていないといえます。

3つ目が粉末造形法です。粉末状の樹脂や金属にレーザーを照射し焼結させる方法であり、高精度で高耐久の作成を実現しています。素材の選択の幅も広く、金属製の素材も使用可能なことから試作品の作成だけでなく最終製品や鋳型の製造も可能です。他にもインクジェット方式やシート積層法などがありますが、全体に共通していることとして、積層して作成することにより鋳型の製造や冶具の作成が不要なこと、試作していくなかで形状が変化しても対応が可能なことがあります。現状では、試作などで3Dプリンターが利用されることが多いですが、低コストで作成可能なことや、複雑な形状でも短時間で製作できることから、今後も研究開発が進んでいくでしょう。

粉末造形とは

3Dプリンターの主要な製造方法のなかに粉末造形という方法があります。ここでは、粉末造形について説明していきます。粉末造形とは、粉末状の樹脂や金属材料にレーザーを照射することにより焼結させ、一層ずつ積層していく方法です。他の方法と比べて、素材選択の自由度が高く、耐久性のある造形物を作成できるので最終製品としての実用がもっとも進んでいる造形方式です。

3Dプリンターでは、製品の作成に積層方式が使われることが多いですが、積層方式は積層方向に対しての強度面が脆いことが弱点とされています。しかし、粉末造形は数ある方式のなかでも強度が高く、ツメ形状やヒンジ形状を作成してもある程度機能することが特長です。

その他にも、型を使わないため短時間、ローコストで作成することができ、サポート材と呼ばれる造形上必要な材料であっても、造形完了後は不要となるものも出ず、複雑な形状の物体を作成可能であることも粉末造形のメリットです。一方で注意点もあり、粉末状の素材をレーザーで焼結していくため、表面がザラザラした感触になること、積層目が残ることがデメリットといえます。試作品の作成では、強度や性能を評価する目的で表面の感触などは評価しない場合には、素地のまま使用し、風流れなどで表面抵抗の重要な試験には、表面処理で面粗さを細かくすることもできるので、粉末造形はテストパーツやプロトタイプの作成に適した造形方法といえるでしょう。実際に使用されているものとしては、エンジンなどの発熱体周辺部品のプロトタイプや外装部品のプロトタイプなどで使用されています。近年では、航空機、ロケット、医療、産業機器の分野では量産部品として採用されており、用途の幅も広いことから、今後も発展していく分野となるでしょう。

粉末造形の3Dプリンターについての知識

粉末造形の3Dプリンターを導入するメリットについて

3Dプリンターには造形方法が色々と存在しており、データを入れることによって簡単に製造することが可能になりますが、特に製造現場ではたくさん使われている設備になります。今回はその中でも粉末造形を製造の現場などで使用する際に得られるメリットについて紹介します。
まず、魅力的なのが新商品など作りたいものを手軽に開発することができる点です。例えば開発の際に手作業で一つひとつ作っていこうと思うと時間もかかりますし、アイディアを生み出すのもそれほど簡単なことではありません。しかし、3Dプリンターがあることによって、データを入れることで実際に手に取って立体物を見ることができます。そのため、手軽に商品の開発をすることができますし、自分の想像に近い製品を作ることができます。
続いてのメリットとしてはコスト削減に貢献できることです。実際に新商品の開発をする際にはある程度の費用を投資して作っていかなくてはなりません。場合によっては多額な費用が必要になることがありますが、粉末造形の3Dプリンターを使用すれば造形をする上でミスをすることはありません。そのため、開発をする上で余分に部品を仕入れることや、長い月日をかけて開発することも少なくなります。開発期間や使用する部品の仕入れを少なくすることによって、新商品の開発でも費用を抑えて作ることができます。無駄な開発コストを抑えることができれば企業にとってもそれほど大きなリスクを負って開発することもなくなります。また、3Dプリンターを使うことによって業務の効率化に繋がるのも魅力的な部分の一つです。新商品などの開発では会議などを重ねて作っていく必要があります。多くの人たちが納得をしないと商品化になることはほとんどありませんが、多くの人たちを説得させるには立体物があればさらに多くの人たちの納得を得やすくなります。3Dプリンターは商品企画の早い段階で完成品に近づけることが可能なので、早く開発をすることができ、業務の効率化にもつなげることができます。また、製品の品質が向上するのも魅力の一つです。例えば新商品の開発などでは試作を繰り返して作り上げていきますが、3Dプリンターがあることによって何度も強度や形状などを作り直したりすることが可能なので、製品の品質を向上させることができます。このように、導入することによって得られるメリットはたくさん存在しています。
これから3Dプリンターを導入しようと思っている人たちはメリットなども見ながらどの設備を導入しようか検討していくと良いでしょう。

粉末造形を選ぶときのポイント

製造や開発をする現場でこれから3Dプリンターを導入しようと思っている場合には造形方法について悩む人たちも多いと思いますが、実際に3Dプリンターには金属造形や粉末造形、光造形など様々な造形方法が存在しています。そこで今回はその中でも粉末造形を選ぶときのポイントについて紹介していきます。
まず、一つ目に見ておきたいポイントとしてはプリントの質です。実際に粉末造形が可能な3Dプリンターはたくさん存在しており、プリントの質も異なります。例えば開発をしたいものや生産したいものによって選び方は異なりますが、中には航空機やロケット、医療の現場などで一部の部品を作る際に採用されている3Dプリンターも存在しています。航空機や医療の現場に使用される3Dプリンターは基本的にはプリントの質も良く、思った通りの形状を生産していくことができます。また、スピードについても大切ですが、3Dプリンターの製造時間はそれぞれ異なります。例えば製造の現場でできる限り早くプリント作業を済ませたいと思っている場合には短期間で完成させることが可能な粉末造形を選ぶことで効率良く作業を進めることができます。このように、今回は一部分の説明になりましたが、選ぶ際にはこだわった方が良いポイントがあります。導入後に後悔しないためにも予めしっかりと調べてから購入を検討すると良いでしょう。

粉末造形の3Dプリンターを購入する際の販売会社の選び方

3Dプリンターを販売している会社はたくさん存在しており、それぞれの販売会社によって品質も異なります。これから導入について考えている場合は後悔しないためにも販売会社の選び方も重要になるので、今回は選び方について紹介していきます。
まず、粉末造形の3Dプリンターの種類が豊富に取り揃えられているかということを確認しましょう。たくさん取り揃えられていれば現場に合う3Dプリンターを見つけやすくなる可能性が高くなります。できる限り豊富に取り扱っている販売会社を選ぶようにしましょう。また、メンテナンスについても対応してくれるかどうかを見ておくようにしましょう。例えば設備を導入してすぐに故障してしまった場合に販売会社が対応してくれなければ意味がないので、後々後悔しないためにもメンテナンスの対応が可能かどうかも調べておくようにしましょう。

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