変革
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開発工数50%減へ、視界外装設計の熟練暗黙知×3Dデジタル変革

自動車OEM
本田技研工業株式会社

開発工数50%減へ、視界外装設計の熟練暗黙知×デジタル変革

2030年ビジョンの実現に向け、四輪事業の変革を推進

本田技研工業株式会社は、2030 年ビジョンとして「すべての人に、『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する ̶ 世界中の一人ひとりの『移動』と『暮らし』の進化をリードする ̶」を掲げ、積極的に変革を推進しています。同社の四輪事業、上屋開発領域においても、「個別機種の開発工数を50%削減し、次世代開発にリソースを投入する」を目標に変革活動を実施しています。

一方、開発現場は、顕在化しつつあった従来の構造的非効率に加え、CASEなどの市場ニーズの高度化・多様化への対応が相まって、リソースが急速にひっ迫する中、変革活動の企画・実行が後手に回らざるを得ない状況となっていました。

そのような中、視界外装設計課内で業務に関わるSOLIZEの3D CAD設計エンジニアが、お客さまの文化や現場の実態に寄り添った変革活動を提案。トップダウンとボトムアップが相まった本件活動が始まりました。

「本改革はSOLIZEエンジニアの提案から始まりました。 当時、そのような提案をしてくれるパートナーはいませんでした。それを踏まえて変革内容を練りこむことで、活動開始へ向け一気にアクセルを踏めたと思います。 私自身の覚悟が固まったとも言ってもよいかもしれません」

四輪事業本部 ものづくりセンター 完成車開発統括部 車両開発二部 視界外装開発課
課長 チーフエンジニア 角田 淳 様

  • ※バンパー、ヘッドライト、ガラス、ワイパー・ウォッシャーシステム、ミラー、サンルーフ、カメラ、センサー、レーダー類などの視界・外装部品の設計。自動運転技術の実装における新たな挑戦テーマも含み、前方、後方、側面、上方の4種視界の設計領域からなる。

手戻りの増大、熟練中心・個別要件のすり合わせ型開発

SOLIZEは徹底的に現場に伴走し、変革に向けた課題構造を見極め、対策を実施しました。

同設計課は、連携するボディ、電装、インテリアなどのデザインや周辺部品の変更に強く影響を受けます。それらはデザイン変更や設計変更が多く確定時期も遅いため、仮検討・確定待・修正の繰り返しを余儀なくされていました。

一方、同設計課内においても、他部品の影響を受ける-与える要件の決定タイミングの先回りが肝であるにも関わらず、設計の各段階でどの要件をどの時期までにどのレベルで詰めるべきかの進め方や基準が曖昧な領域が増える中、熟練設計者の暗黙知に依存した高度のすり合わせ型開発体制にならざるを得ない状況でした。また、開発期間の短縮を狙い3D活用を推進してきた反面、先述のすり合わせに起因し3Dデータ自体の作成工数が増大、分担設計を余儀なくされ、各担当者は個別最適を優先しがちでした。

その結果、周辺部品間の影響を俯瞰した成立性の早期担保が困難であり、課題のつぶし込みや部署間整合が後手に回ることでさまざまなトレードオフが高難度化かつ手戻りが増加、それらを人海戦術で対応するため深刻な負荷となっていました。

Fig.1 個別機種開発工数の50%削減に向けた課題構造・方策マップ

「弊社の開発は、お客さまの期待に応え・社会に貢献する魅力ある製品を生み出すために、“高い目標への積極的な挑戦”と“失敗による学び”、そして“実現スピード”を推奨しています。果敢に失敗を恐れず、そこから学び、高速で試行錯誤を繰り返しながら磨き上げていくことで、独創的な価値と技術を形作っていくプロセスが強みでした。基本的な設計要件や標準など検討方法をガイドしてはいたが、エンジニアの目的が“基準の順守や人真似にすり替わらないよう”に、“技術根拠や設計意図自体から考え続けるよう”に、人財育成面でも考慮してきました。

ただ、最近では競合との開発スピード争いにそぐわない状況となってきており、特に視界外装設計では顕著化しています。これまでの独創的な強みを生かしつつ、スピードも追及します。この目指す状態に向けて、業務を再構築し、作業領域の自動化を推進、高難易度の判断領域へリソースを集中することで、付加価値と人財成長も狙っていきます。そのために必要な課題構造と具体策を早期に見い出すことができました」(角田様)

熟練判断を10%へ、暗黙知の形式知化・プロセス再構築

SOLIZEは、実績の分析と熟練設計者とのヒアリングを重ねながら独自手法のノウハウデザイン (暗黙知を形式知化し、利活用しやすいナレッジ化するために確立された実践技術) を駆使することで、人や組織の暗黙知となっていた515件の検討要件を解明しました。そのうえで、曖昧さを含む要件群を徹底した数値化と技術根拠・設計意図・実現方法を組み合わせて標準対応を明確にし、設計品質を統一しました。

Fig.2 形式知化した要件数≒熟練設計者の観点

それらをもとに、全体俯瞰した成立性検討の早期化を目指し、関連他部署側と部品またぎとなる要件・要確定時期・確定に必要な情報を定義、所掌も含めて見直し、一部の周辺部品側の検討をも積極的に巻き取りながら、業務プロセスやナレッジ類を再整備しました。また、四輪事業全体の一括企画と連動して開発プロセス全体の整流化までをボトムアップで推進しています。

Fig.3 熟練観点に基づき、業務プロセスとナレッジ、3Dが最適に連動する仕組みへ再構築(後方視界外装例)

「暗黙知を判断と作業に峻別し、“選択的判断が26%” と解明できたことは印象的でした。 一見高度ですが、実は他要件の決定に伴い、選択的パターンとして決定できる要件が多かったということです。これまでも業務の切り出しのために見える化にトライしてきましたが、判断までは踏み込めずうまくいきませんでした。特に現場メンバーが、自らの業務の大半が実は“作業”であったとある意味で自己否定し、腹落ちしないと前に進めません。これができたからこそ、その後のプロセス化や自動化へ、納得して臨むことができました」(角田様)

開発初期段階における検証作業の工数・期間の90%減を実証、攻めのスタイルへ

解明した要件を3Dデジタルへ再実装することで、データ作成やレイアウト検討にかかる作業工数・リードタイムも徹底的に削減しました。たとえば後方視界外装設計において、「バックミラー配置→リアガラス配置→ワイパー可動域設定→バックミラー視界での法規チェック」などの検討があった場合、従来の個別検討の直列ではなく、全体を「一連の検討」として捉え、約9割を選択式判断化・作業化し、半自動化しています。その結果、従来の40時間(1週間)を、1時間に短縮。同様に、前方と後方の視界外装も一括で連携し、複数名で百数十時間要していた業務を一人4~5時間で可能とすることを実証しているだけでなく、前方・後方・側方・上方一括連携による自動化へと進めています。

これにより、成立性判定基準の乖離に対策するような高度判断に人の時間を集中させ、課内デザインレビューでこれまで以上に十分に審議した結果をもって、上流のデザインや関連他部署に対する早期の提案型交渉が可能になりました。

視界外装の開発工数50%減に目途、次世代開発へリソースシフト

本活動の結果、視界外装の個別機種開発工数の50%削減目標に対し有効性を実証し、人が創造力を最大限発揮する先進技術開発や人財育成への推進力につながっています。

本田技研工業様本来の、顧客視点で先鋭的・独創的な魅力ある製品開発の強化を通じ、「すべての人に『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する ̶ 世界中の一人ひとりの『移動』と『暮らし』の進化をリードする ̶」2030 年ビジョンの実現に寄与してまいります。

本成果を受け同社では、他領域へも同アプローチでのデジタル変革を積極的に推進されています。

Fig.6 暗黙知(競争力)に、プロセス化・標準化と3Dデジタルを掛け合わせる本質的なDX

四輪事業本部 ものづくりセンター
完成車開発統括部 車両開発二部
視界外装開発課
課長 チーフエンジニア 角田 淳 様

「ニーズの高度化・競合の増加など四輪事業の環境が大きく変化している中で、自らの開発業務を抜本的に変革していくことが急務であり、それは私たちが市場に提供する価値自体の変革と同義と捉えています。このような変革においては、ツールありきや個別最適な“手段が目的化”しがちなアプローチは特に問題と考えていました。

SOLIZEは、目指す姿ありきで、私たちの提供価値 (判断領域) にまで踏み込んで、業務の可視化、課題と方策の構造化、ナレッジ・プロセス改革・デジタル実装まで、本質的なDXをスピーディーに推進してくれています。 活動初期は懐疑的だったメンバーも、成功体験を積み重ねるにつれて、自分事として納得して推進してくれており、変革文化醸成にもつながっています。今後、上屋全体への変革にも一緒に汗をかいて欲しいと思っています」

四輪事業本部 ものづくりセンター
完成車開発統括部 車両開発二部
視界外装開発課
須貝 英正 様

「安心して変革に突き進んでいけています。変革経験が少ない中、開始当初はどのように進めればよいのか不安を抱いていました。その点、弊社の現場を知り尽くしたSOLIZEの設計エンジニアと変革プロフェッショナルに支えられつつ、本音・本気で話し合いながら、迷わず成果を出せています。

自分たちの設計自体を目的ベースで自己否定的・客観的に見直し、源泉的な強みを革新する機会に巡り合えたことは、私のエンジニア人生においても本当に良かったと思っています。“もっといける”という話とアイディアが尽きず、ポジティブで楽しく取り組めています。新しい次のHondaを創っていくために、このまま先頭を走り、引っ張っていきたいと思います」

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